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私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「パラノイドパーク」

2008-08-07 19:47:19 | 映画(は行)

2007年度作品。アメリカ=フランス映画。
16歳のアレックスははじめたばかりのスケートボードに夢中。今日もお気に入りのスケボーパーク「パラノイドパーク」へ出かけていく。しかし、ふとした偶然から、誤ってひとりの男性を死なせてしまう。
監督は「グッド・ウィル・ハンティング」のガス・ヴァン・サント。
出演はゲイブ・ネヴァンス。テイラー・モンセン ら。


この映画はきわめて地味だ。
スケボー好きの高校生の日常を淡々と積み上げているという内容は下手をすれば退屈になりかねない雰囲気をはらんでいる。実際、似たような感じの「エレファント」や「ラストデイズ」同様、退屈だと見ている最中感じることは何度もあった。

しかしこの映画は「エレファント」同様、その退屈さがたまらなくおもしろい作品でもある。平坦とも見えるムードが見ている間、妙に心地よく感じられる。
その理由は主人公の日常の中に、緊張感がひそんでいるからだろう。その適度に張りつめた雰囲気が物語そのものは引き締める役割を果たしていたと思う。
もちろんその緊張感とは、主人公が過失致死で人を死に追いやったことにあることは言うまでもない。

その事故は普通の日常を送る主人公にとっては明らかな異常事だろう。実際、主人公も、これはやばい、と追い詰められた心情に陥って、軽い鬱のような症状も時折見せている。
しかし主人公の日常は、その異常を前にしても崩れることはない。その描写が本当にリアルだ。
異常が起きても、主人公の日常そのものは表面上、何も変わらず、すべてはその平凡の中に埋没していく。その淡々とした描き方とアプローチはきわめて興味深い限りである。

ただ映画自体、それだけで終わってしまっているのが、少し残念でならなかった。
たとえば、ある種の不気味さが漂っていたり、ストーリーテリングでサスペンスフルにするでもすれば、強烈なパンチとなっていたであろうが、そういったこともなく、映画はただ表層をなぞるだけで終わってしまう。
それは意図的なものというのはよくわかるのだが、個人的な趣味から言うと、もう少し何かがあってもよかったのではないか、と思った。それだけがこの映画の唯一の弱点と個人的には思う。

評価:★★★★(満点は★★★★★)


制作者・出演者の関連作品感想
・ガス・ヴァン・サント監督作
 「ラストデイズ」


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